高専卒就職 vs 大学編入 ―― 「実力の20歳」か「安泰の22歳」か。20代の密度を最大化する生存戦略

【はじめに:20代の密度を最大化する生存戦略】

高専4年の春。進路希望調査の紙を前に、「とりあえず、みんな大学に行くから」といった思考停止に陥っていないだろうか 。あるいは、国立大への編入を決めて、5年生の卒論を「消化試合」だと思っていないだろうか

厳しい言い方をすれば、その考えは浅い 。高専からの進路選択は、単なる「学歴」の選択ではない 。それは、**「20代という黄金の時間を、何に換金するか」**という、人生最初の巨大な投資判断だ 。私は高専から大学に編入し、その両方の景色を見てきた 。その経験から、オブラートを剥ぎ取った「真実」を提示したい


第1章:高専という「最強のOS」を積んだ20歳

まず自覚しておくべきは、高専生が10代でインストールしている「OS」の圧倒的な優秀さだ

1.1 15歳から始まる「強制実戦」の重み

普通高校の生徒が受験という「チケット取得」のために暗記に励んでいる間、君たちは16歳で回路を組み、18歳でコンクリートを打ってきた 。土木の基礎を支える3力(構造・水理・土質)を、脳が一番柔軟な時期に直接叩き込んでいる 。 この「早期実装」がもたらすのは、単なる知識ではない 。理屈が身体化しているという、現場での圧倒的な「勘」だ

1.2 「漂白」されていない知識の手触り

大学の講義で語られる理論は、しばしば「漂白された抽象」に見える 。教科書の中だけで完結する、無機質な記号の羅列だ 。 対して、高専の学びは常に泥臭い 。実習で失敗し、モノを壊し、冷や汗をかきながら覚えた知識には確かな「手触り感」がある 。この生々しさこそが、20歳という若さで社会に出た時に、大卒を凌駕する武器になる


第2章:高専卒就職 ―― 「仕事ができる人間」への最短ルート

「高専卒の就職」と聞いて、現場でスコップを持つ姿を想像するのは完全な間違いだ

2.1 仕事の質は大卒と1ミリも変わらない

ゼネコンでもメーカーでも、高専卒が任されるのは「技術職」である 。施工管理、設計、開発。大卒の22歳がやる仕事と、君が20歳で始める仕事は、全く同じ土俵にある 。 むしろ実務において、高専卒は「最強の即戦力」として扱われる 。それはエンジニアとしての守備範囲が異常に広いからだ

2.2 「広く浅く、かつ深く」のチート性能

大学のゼミが専門特化しすぎる一方で、高専生は土木なら土木の全方位を5年間で叩き込まれている 。専門家には勝てずとも、現場のあらゆる事象に「あ、これ知ってる」と言える余裕 。この守備範囲の広さが、実務での対応力を生む

2.3 企業が求める「安泰な戦力」

企業からすれば、20歳でこれだけ仕上がっている人間を確保できるのはあまりに合理的だ 。大卒が4年間遊んでいる間に、自社仕様に2年かけて育て上げられた22歳の高専卒 。その時点での実力差は、簡単には埋まらない


第3章:大学編入 ―― 「人生の安泰」を買うための高額投資

では、大学に行く価値はないのか? いや、そんなことはない 。大学編入は、「仕事の実力」以外の部分で、君の人生に強固な「防壁」を築いてくれる

3.1 「システム」を味方につける戦略

日本の社会は、未だ学歴というシステムに支配されている

  • OBネットワークの恩恵:伝統ある大学のコミュニティは、入社後の出世や転職において、目に見えない巨大な力となる 。
  • 足切りの回避:高専卒では門前払いされる企業も、大学の看板があれば面接まで行ける 。
  • 生存率の向上:もし挫折した時、再起を助けてくれるのは、実力よりも「学歴という肩書き」だったりする 。

3.2 編入試験という「本末転倒」の罠

しかし、この「安泰」の代償は重い 。編入を志す学生は、高専3年の後半から5年の秋まで受験勉強に追われる 。 その結果、高専の集大成であるはずの「卒論」が、適当になる 。エンジニアとしての「実装力」を磨く最大のチャンスを犠牲にして、ペーパーテストに時間を投じる 。この歪みに耐える覚悟はあるか

3.3 タイムラインに潜むバグ

さらに残酷なのは、編入後の生活だ 。大学に入った瞬間、君は「学問」や「青春」を謳歌する暇もなく、即座に就活システムの歯車に組み込まれる

  • :編入。慣れない環境と単位認定の格闘 。
  • :インターン開始 。
  • :就活本番 。 「2年と学費」を払って買ったはずの時間が、ただの就職準備期間で終わるリスクを理解すべきだ 。

第4章:結論 ―― 君はどちらに「20代」を賭けるか

高専卒就職は「実力」でぶち抜く道だ 。20歳でプロになり、大卒を凌駕する「仕事力」を身につける 。 大学編入は「システム」を味方につける道だ 。人生の安定感と、より広い世界へのチケットを手に入れる

「大学に行けばなんとかなる」と思っているなら、大学には行くな 。そんな「グーダラ坊や」は、現場でバリバリ働く高専卒に一生勝てない 。 逆に、今の視野の狭さに危機感を持ち、学歴という仕組みを使い倒してでも高い視座を目指すなら、迷わず大学へ行け 。ただし、それは卒論も就活も一切手を抜かない「修羅の道」だ

「仕事の実力なら高専卒、人生の安泰なら大学卒」

この事実は変わらない 。どちらが正しいかではなく、君が「何に価値を置く人間なのか」を、自分自身の言葉で決めてほしい 。 進路希望調査の紙は、まだ白紙のままでいい 。まずは自分の内にある「野心」と「恐怖」を、じっくりと見つめ直してほしい

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